【仕出し弁当の達人に聞く】仕出し弁当とは?注文を失敗しない方法やメリット・デメリット等を徹底解説

月村の仕出し弁当
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が全国各地に広がり、緊急事態宣言が発令された2020年4月。感染防止のための外出自粛によって外食機会が激減する一方、それに取って代わるかのように、日常の中で弁当の店頭販売や宅配を見かける場面が増えました。4月27日にあの三ツ星レストラン〈ガストロノミー ジョエル・ロブション〉が8万円超のグルメボックスの販売・宅配を始めたことは、記憶に新しいところでしょう。

仕出し弁当・ケータリング・宅配弁当のサービスを展開している〈月村〉でも毎日おいしい弁当をお届けしていますが、定期的にお客さまとの会話で話題になるのが、「仕出し弁当って、どんな弁当なの?」、「普通の弁当と仕出し弁当って、どう違うの?」。どうやら、どんな弁当を仕出し弁当と呼ぶのか、人によって意味合いが曖昧(あいまい)のようです。

そこで今回は、〈月村〉の全商品のプロデュースを手掛けた“仕出し弁当の達人”・竹田光一郎氏が、「仕出し弁当のイロハ」を仕出し弁当初心者でも理解できるように、わかりやすく解説。仕出し弁当を初めて注文する方にとってもリピーターの方にとっても有益な仕出し弁当の情報を余すことなくお伝えします。

▼解説する人(本記事の監修)
株式会社パンチドランカー・代表取締役 竹田光一郎

株式会社パンチドランカー・代表取締役 竹田光一郎
老舗日本料理店〈月村〉のオーナーシェフを父親に持つ、仕出し弁当の達人。「食の時間に、美味しさやアイデアで感動を生み出す、エンターテインメントを提供する」を理念に掲げる株式会社パンチドランカーで代表取締役を務め、仕出し弁当・ケータリング・宅配弁当を提供する〈月村〉(https://tsukimura.tokyo/)を運営している。食べることがとにかく大好きで、学生時代、借金をしてまでおいしいものを食べ続けた過去あり。

注:本文内で触れている〈月村〉の仕出し弁当の金額は税込み価格となります。

目次

仕出し弁当とは料理店が店内で作ってご提供している料理を1つの折や重箱に詰めてお届けする高級弁当のこと

仕出し弁当『うなぎ處 笹川|うな重【特上】』
仕出し弁当『うなぎ處 笹川|うな重【特上】』(2,800円)。「肉厚の厳選ウナギ×伝統のたれ」の組み合わせが絶品です(画像クリックで商品ページへ)

海外でも「BENTO」と呼ばれ人気を集めている弁当は、日本特有の文化です。この弁当に「仕出し」が付いたのが「仕出し弁当」ですが、そもそもこの「仕出し」には一体どんな意味があるのでしょうか?

調べたところ、『デジタル大辞泉』(小学館)では「注文に応じて料理を作って配達すること。出前」、『栄養・生化学辞典』(朝倉書店)では「注文された料理を指定された場所へ届けること」と定義されていました。両社の説明には違いはあるものの、「仕出し」に「料理を配達する意味がある」のは共通しています。

「仕出し」に関連する言葉の一つに、「仕出し屋」があります。意味は「注文を受けて料理や弁当を調理し、配達する店。また、それを業とする人」(『デジタル大辞泉』)。竹田氏いわく「Webサイトで気軽に注文できるようになり、仕出し弁当を作る仕組みも昔に比べて整ってきているので、年々、仕出し弁当を作る会社(=仕出し屋)は増えている」そうです。

以上の情報を踏まえて、竹田氏に「仕出し弁当」がどんな弁当を指すのか、聞いてみました。

「あくまで私の考えですが、『料理店が実店舗で提供しているものと同じ料理を注文が入ってから作り、1つの折(おり)や重箱に詰めてお届けする高級弁当のこと』を仕出し弁当と定義しています。ただ、入れ物は使い捨てできる高級感のある容器を使うケースが増えているので、仕出し弁当に必ず折や重箱が使われているわけではありません」(竹田)

『日本料理 月村|匠味 幕の内弁当 西京豚の炙り御飯』
2020年5月の仕出し弁当ランキング1位、『日本料理 月村|匠味 幕の内弁当 西京豚の炙り御飯』(1,620円)(画像クリックで商品ページへ)

〈月村〉の仕出し弁当で最も高価なものは、〈うなぎ處(どころ) 笹川〉の『【温まる】うな重【特上】』で3,280円。〈月村〉のWebサイトにある「今月のランキング」を見ても1位は1,620円の『日本料理 月村|匠味 幕の内弁当 西京豚の炙り御飯』となっており(2020年5月14日時点)、東京都23区の幕の内弁当の平均価格・542円と比べると、確かに価格は割高です。

しかし、仕出し弁当には、その価格に見合うだけの一般的な弁当にはない高級感と彩(いろどり)、そして満足度が高い味がセットになっています。実際に〈月村〉の仕出し弁当を食べた方のレビューを見てみると……

※参照:政府統計ポータルサイト『小売物価統計調査 小売物価統計調査(動向編)』の「弁当(幕の内弁当)」項目、2020年3月の数値

二段重になっており、上段には蟹や海老など華やかな内容で、 これだけでも満足度が高い! 下段は、和牛のローストビーフ丼になっていて、二度おいしい! でも、海老は手を使わないで食べれるようにしていただきたいです。 こんなお弁当、待っていました! 女性も男性もバランスよくお召し上がりいただけると思います。また、注文させていただきます。(『割烹よしむら|和牛のローストビーフご飯の二段重』をご注文された方)

ランチミーティングで利用しました。ご飯とおかずのバランスも丁度良く、また、おかずもバラエティに富んでいて、 最後まで美味しくいただくことができました。特にいくらは、お弁当とは思えないほど鮮度ばつぐんで味もよく、大満足でした。(『日日是好日|釜揚げしらすといくらの海苔弁当』をご注文された方)

引用:〈月村〉のWebサイト「新着レビュー」より

といった感想も見られました。

それでは、仕出し弁当のニーズが高まったのはいつ頃なのでしょうか?

仕出し弁当のニーズが高まり始めた理由と仕出し弁当のマーケット動向

『時肉時菜 樂|和牛のみすじ焼きご飯と季節の野菜の二段重 [加熱容器]』
希少部位の“みすじ”をたれ焼きにした『時肉時菜 樂|和牛のみすじ焼きご飯と季節の野菜の二段重 [加熱容器]』(2,800円)(画像クリックで商品ページへ)

「製薬業界に限った話になりますが、2012年春頃、弁当に使える費用に上限が設けられました。このあたりから、仕出し弁当のニーズが高まり始めたような気がしています。

『中食(なかしょく)』と呼ばれるテイクアウトやデリバリー、ケータリングなどの市場は年々拡大しています。仕出し弁当の用途(お届け先)で多いのはおもてなし・接待、会議・研修、行楽・イベント、地域や家族の集まり、ロケ・撮影などですが、今年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関連した外出自粛が続く可能性が高いため、今後、これら以外のシチュエーションで仕出し弁当を手に取る機会は増えるかもしれません」(竹田)

中食(惣菜)市場の動向
画像の出典は『食品産業新聞社ニュースWEB』。中食市場は10兆円を超えるマーケットになりました

上の画像は『食品産業新聞社ニュースWEB』に掲載されている『2019年版惣菜白書』を基(もと)にした中食市場の規模を示した数字の一覧です。一番下の「合計」は2009年から2018年の間の約10年間で約2兆円増え、10兆円を超える市場規模に成長しました。2019年のデータはまだ明らかになっていませんが、2019年10月に施行された消費税増税に伴う軽減税率が導入されたことを考えると(持ち帰りにすると、消費税が10%→8%になります)、おそらく、合計の数字は伸びている可能性が高いでしょう。

【保存版】ケータリング、オードブル、出前、デリバリー——仕出し弁当と混同しやすい言葉(ジャンル)の意味を確認・整理

月村 ケータリング1
〈月村〉が手掛けたケータリングの一例。色とりどりの食材が、ゲストをお出迎えします(画像クリックでケータリング、オードブルページへ)

「届ける」共通項があるからか、仕出し弁当を「ケータリング」、「オードブル」、「出前」、「宅配」、「デリバリー」と混同している人もいるようです。

意味を履き違えたままでいると、注文時に誤解を生んだりトラブルにつながったりする可能性もあるので、竹田氏の解説も頼りにしながら、ここで一度、それぞれの定義や利用のシチュエーションを確認・整理してみましょう。

まず「配達する手段」の意味を持つ「出前」、「宅配」、「デリバリー」ですが、調べてみたところ、TBS系列の番組『この差って何ですか?』のWebサイトで「出前」と「宅配」の違いが解説されていました。

結論、「出前」と「宅配」の違いは、「配達が主なのか、補助的なサービスなのか」の違いです。例えば、普段週6でお店を営業しているお寿司屋さんが配達をしたら「出前」、お店を持たず配達を主としているピザ屋さんは「宅配」になります。そして、この「宅配」を英語で表現したのが「delivery=デリバリー」です(deliveryには手紙の配達、話し方、分娩〈ぶんべん〉など、他の意味もあります)。

それでは、「ケータリング」と「オードブル」の違いは……?

月村 ケータリング2
ケータリングは種類も豊富。見てても食べても、飽きません!

「ケータリングの本来の意味は、『調理した料理を持ち込むもの』だと考えます。その意味では、仕出し弁当もオードブルのデリバリーもパーティーの施工もケータリングといえるでしょう。ただ、一般的には、スタッフが会場に出向きお給仕するサービスをケータリングと捉えている人が多いような気がします。

主な利用のシチュエーションとしては、イベントスペースやオフィスなどで開催されるパーティーやイベントが多いかもしれません。ちなみに、〈月村〉のケータリングは陶器の食器を持参し、終了後に持ち帰る流れです。

オードブルも利用するシチュエーションはパーティーやイベントがメインですが、料理は使い捨ての容器に盛りつけられています。また、イベントスペースやオフィスだけではなく、家庭やお花見会場、地域行事などさまざまな場所で利用されており、手に入れる場所も店頭購入、テイクアウト、宅配と複数あるので、ケータリングと比べると幅広い印象を受けますね」(竹田)

名称 意味 利用人数 代表的な利用シチュエーション
配達の手段 出前 お客さまを迎え入れる店舗を持ち、店舗での営業を主な生業(なりわい)にしているお店が普段提供している商品を配達すること 少人数 自宅で家族や友人たちとともに昼食、夕食をとるとき。基本的に屋内が主
宅配 店舗を持っていない、もしくは店舗を持っていても主に配達による営業が生業になっているお店が商品を配達すること 少人数
デリバリー 「宅配」の英訳。ただし、手紙の配達、話し方、分娩(ぶんべん)など、他の意味もある
料理の提供手段 仕出し弁当 料理店が実店舗で提供しているものと同じ料理を注文が入ってから作り、1つの折や重箱に詰めてお届けする高級弁当のこと 少人数~大人数まで幅広い おもてなし・接待、ロケ・撮影、会議・研修、家族・友人・同僚たちの集まり、地域行事など
ケータリング スタッフが会場に出向き陶器などの食器に料理を盛り付け、お給仕すること。配達の概念はない。ただ、竹田氏いわく「ケータリングの本来の意味は、『調理した料理を持ち込むもの』」 大人数 大人数が集まる歓送迎会、忘年会、結婚パーティーなど
オードブル 使い捨ての容器に盛りつけられた料理のこと。配達やテイクアウト、店舗での購入によって調達できる 少人数~大人数まで幅広い 歓送迎会、家族・友人・同僚たちの集まり、お花見、地域行事など

付け加えると、ケータリングの語源は英語の「cater」(料理を提供する、調達するなどの意味)の動詞である「catering」、オードブルの語源はフランス語の「hors-d’œuvre」(前菜の意味)です。日本人で前菜と認識している人はかなり少ないはずなので、今あるオードブルの解釈は日本独自といえるでしょう。

仕出し弁当のメリット・デメリット

高級な素材
お店でしか食べられないメニューを可能な限り再現して提供する――。そこに仕出し弁当の価値があります

次に触れるのは、仕出し弁当のメリット・デメリット。キーワードは、「フルコースのパッケージ」です。

「日本料理店では、『お通し』とも呼ばれる先付(さきづけ)、魚介類を提供する向付(むこうづけ)、焼き物などの料理が提供されます。形は弁当かもしれませんが、これらの献立を味はもとより彩も再現してお届けできるのが、仕出し弁当の一番のメリットですね。お店に行かなくても、お店の本格的かつ高級な味が見た目も含めて楽しめるわけです。

フランス人はよく『BENTOはフルコースをパッケージしたようなものだ』といいますが、仕出し弁当はこの表現にぴったりと当てはまります。

一方デメリットは、作ってからお届けするという工程上、出来立てではない料理をご提供せざるを得ないことです。もちろん、冷めた状態でもおいしく召し上がっていただけるような工夫や努力はしていますし、新メニューはお店の方からさまざまなフィードバックをいただき、さまざまな工程を経て『お店の味が再現できているレベル』に達してからリリースしています。しかし、召し上がっていただくまでの時間差はどうしても避けられません」(竹田)

仕出し弁当の注文で失敗しないコツ

月村のブランドラインナップ
お客さまのニーズにこたえ、満足してもらうために、〈月村〉では多彩なブランドを用意しています

自身が責任者になって仕出し弁当を手配した後、食べた人から「このお弁当、おいしいんだけど、ちょっと今日はこの味の気分じゃなかったな……」と感想を告げられたら、誰しも落ち込むもの……。きっと、以降は仕出し弁当を注文する役回りを避けるようになるでしょう……。

そんなリアクションではなく、「とってもおいしかったよ。パーフェクト! 次回もよろしく頼むな!」と絶賛されるためには、どのように注文したらよいのでしょうか?

「一番大切なのは、相手の好みを具体的に知ることです。性別・年齢などのパーソナルな情報もあると、なお良いですね。そういった情報を踏まえて、例えば『(仕出し弁当をご提供する方が)“肉好き”なので、ステーキの仕出し弁当でおすすめはありませんか? “予算は〇円くらい”なんですが……』、『今日のご訪問先は“ご年配の方“で“魚好き”なので、“あっさりめのおいしい魚料理”があると助かります』。こういった具体的なオーダーをいただけると、ミスマッチが防げる可能性が高くなると思います。

〈月村〉は多ブランド化することで、極力、お客さまのご要望にこたえる体制を整えています。『これは無理かもしれないな』と思える内容でも、ぜひ一度ご相談ください。ご要望がない場合は、何となくでもかまいませんので料理のイメージをお伝えいただけると、うれしいです。期待値を超える仕出し弁当をご提供します」(竹田)

仕出し弁当の注文は、150種類以上を取り揃えている〈月村〉で!

月村の仕出し弁当の注文方法
〈月村〉の仕出し弁当のネット注文は赤枠部「ご注文はこちら」から!(左がスマホ、右がPC・タブレット)

“仕出し弁当の達人”・竹田光一郎氏を迎え、仕出し弁当をさまざまな角度から解説してみました。

  • 仕出し弁当とは、料理店が実店舗で提供しているものと同じ料理を注文が入ってから作り、1つの折や重箱に詰めてお届けする高級弁当のこと
  • ケータリングとは、スタッフが会場に出向き陶器などの食器に料理を盛り付け、お給仕すること。配達の概念はない。ただ、竹田氏いわく「ケータリングの本来の意味は、『調理した料理を持ち込むもの』」である
  • オードブルとは、使い捨ての容器に盛りつけられた料理のこと。配達やテイクアウト、店舗での購入によって調達できる
  • 仕出し弁当のメリットは、料理店の味が盛り付けと一緒に再現されていること(フランス人いわく「フルコースをパッケージしたようなもの」)
  • 仕出し弁当のデメリットは、出来立てをお届けできないこと
  • 仕出し弁当の注文で失敗しない方法は、ご提供する相手の好みを具体的に知り、お店に正しく伝達すること

少しでも仕出し弁当に興味を持たれたら、ぜひ、〈月村〉のWebサイトに掲載されている多彩なラインナップをご覧ください。その数、何と150種類以上! きっと、お気に入りの弁当が見つかるはずです。皆さまからのご注文、心よりお待ちしております。

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